助かる道

　女の人のほうが寒がりで

　怖がりの人が多いし

　男だったら何かあったときは

　「オレが守ってやる！！」

　って思うよね

　でも本当はね

　女性のほうが脂肪の割合が多いから

　冷えにも熱にも強いんだって

　だから雪山で遭難したり

　火事で火がこっちに向かってきた時は

　男性が守ってあげようとすると

　どっちも助からない可能性が高くなるらしい

　でもそんな大変な時に

　「お前が盾になったほうが助かる確率が高いんだ

　だからオレを守ってくれ！」

　なんて言えないよ

　この事実を知っていても

　死ぬ確率が高くなっても

　「ここはオレが守る！！」

　冷えや炎の前に立つだろうな

　バカでカッコつけだけど

　それがオトコなんだ

　だからもし

　そういう場面に遭遇して

　私はこの人と助かりたい

　っと思ったら

　お気持ちだけちゃんと受け取って

　男の人の盾になって欲しいんだ（笑）

まっすぐ

　きゃしゃな体して、がっつり力持ち

　図太い神経の中に繊細な心

　無表情な人が見せるとびきりの笑顔

　しっかり者が見せる弱さ

　そんな女性のギャップに男は弱いのかな

　もう恋はしないなんて

　心にガードを固めていても

　この揺さぶりに

　ついガードが外れて恋心に火がつきそう

　でも本当に運命の人が現れたなら

　ギャップもガードも揺さぶりもなく

　その人の存在だけで

　もう降参！

　駆け引きや計算もなく

　まっすぐその人を想う気持ち

　そんな恋がいくつになっても

　出来たらいいな

扇風機

　石油ファンヒーターの

　灯油を捨て

　最後の最後まで燃やしきる

　季節外れの熱い風を出し切ったら

　いよいよボクの出番だね

　羽根を電気で回すだけの

　地味な構造だけど

　これからの季節

　欠かせない存在なんだ

　また涼しくなって

　石油ファンヒーターと入れ替わる

　その日まで

　あとはボクにまかせなさい

一瞬だけ

　女の人がみせる

　一瞬だけニコッとする

　あの笑顔

　いいよね

　金縛りにあったかのように

　ドキッとする時がある

　その笑顔は反則だよ（笑）

ここは日本だ！

　2200坪ある店内を

　毎日15人前後のスタッフで

　運営しているんだ

　作業中でも

　エプロンや名札をしていれば

　お客様から容赦なく

　問い合わせを受けるんだ。

　慣れないアルバイトでなくても

　わからないことが山ほどあるのに

　聞きたくても

　周りにフォローしてくれるスタッフがいないんだ

　だから

　初めてのアルバイトには

　トランシーバーの会話の仕方から

　徹底して教えるんだ。

　いくつかのパターンを教えて

　それでもパニックになって

　どうしようもない時は

　何でもいいから

　このレシーバーに向かって話せ！

　いいか、ここは日本だよ。

　日本語が通じるからな。

　といって、やさしく語りかけて

　売場に送り出すんだよ。

　最初のうちは

　チョットチョット！とか

　おいおい！

　という変な言い回しが多いんだけど

　日本語でやさしく、ゆっくり問いかけていると

　だいたいわかってくるんだよ。

　わかる人がわからない人のほうに

　少しだけ歩み寄ってあげて

　たくさん会話を重ねていくと

　だんだん短いフレーズだけで

　通じ合うようになってくる

　それがかみ合ってきた時

　すごくうれしいんだ。

桜

　あれだけの花を咲かせるから

　私たちの誰もがそれに気づく。

　でも

　「どうだ、

　桜だぞ！

　きれいだろう。」

　などという

　でしゃばったところがまるでない。

　この時期だけ

　数日間だけ

　そっと咲き始め

　気づいたら

　私たちの視界に大きく飛び込んでくる

　ゆっくり眺める人にも

　花見をして騒ぐ人にも

　どう？

　私きれいでしょう？

　などと問いかける事もなく

　控えめに私たちのそばで咲いている

　数日間限定だけど

　ものすごい存在感があるよね。

　そんな

　控えめで大きな存在が

　私たちに人気なんだろうね。

教えて教えられて

　一生懸命教えているうちに

　彼のほうが自分より出来るようになっていた

　いつの間に・・、こいつめ・・。

　ちょっぴりくやしいのと

　うれしい気持ちが交差する。

　でも一生懸命教えているうちに

　一番教えられたのは

　実は私のほうだったんだ。

ドキッ！

　『お疲れ様でした♪』

　と会釈して立ち去る女性。

　後ろ髪から

　一瞬だけ

　シャンプーのやさしい香り

　・・・。

　ドキッとした！

ホワイトデー

　プレゼントを買って準備するのって

　買うときもちょっと恥ずかしいし

　渡す時もお礼を言われる時も

　なんか恥ずかしいんだけど

　そのあとの悦びや満足感に期待して

　勇気を出して

　店に入る。

　ばら売り品はラッピング出来ない

　と突っ張る店員さんに

　ガラにもなく無言で

　『何とかならないの？』

　とメッセージを送る。

　頑張ってみるものだね。

　かわいいラッピングと袋をつけてくれた。

　当日は休みだから

　前日の夜遅く

　ロッカーを順番に開けて

　名前を間違えないように

　もれのないように

　「いつもありがとうございます」

　というメモを添えて

　5分間だけサンタさんになって

　休憩室に忍び込むんだよ。

出戻り

　あれだけ急に暖かくなって

　今度はまた真冬並みの寒さ。

　タイツにアンダーシャツ、マフラーを

　もう一度身にまとう

　ほっぺただけが寒い。

　他の部分は暖かくしているから

　この冷たさが気持ちいい。

　夏の日のアイスクリームのような

　冬の日の熱いそばのような。

　そんな気持ちいい冬が

　戻ってきた。

　お別れのあいさつかな。